彼はリコーダーが吹ける
学期末、真っ盛りです。
昨日、音楽でリコーダーのテストをしました。
3年生になって初めて学習したリコーダー。
子どもたちの中には、すでに苦手になっている子も。
29人中、4人が不合格。
再テストをすることになりました。
再テストでリコーダーを苦戦しながら吹いている男の子。
「まだ、練習が足りないんだな。手先があまり器用ではないんだろうな。」
そんなことを思いながら、たどたどしい音色を聴いていました。
すると、その男の子が「先生、もう1回テストを受けたいです。」と言ってきました。
「いいよー!」と言うと、周りの子も「がんばれ!」と応援ムードに。
テストが始まると、そっと隣の女の子が彼の楽譜を指で追っています。
そのサポートだけで、なんと、彼、普通に吹けたのです。
彼はリコーダーが吹けないのではなかったことに、そこで初めて気づきました。
彼にとって困難だったのは、「楽譜を目で見て、今吹いた音を短期記憶として脳に残し、次の音を目で追っていく」ことだったのです。
例えば、カラオケの歌詞の画面のように、吹いた音が一目でわかる色が変わる映像楽譜などがあれば、問題なくリコーダーが吹けるのだろうと思います。
何より感動したのは、サポートをした女の子。
彼女は隣の席で、彼の様子を見ながら、「こうすればいいんだろう」と予測して行動を起こしてくれた。
彼女のおかげで、現象面だけで人をとらえていた自分に気づくことができました。
「ありがとう!あなたのおかげで、○○くんはリコーダーが吹けたよ。先生もまったく気付かなかった。先生もすごく勉強になった。○○くんはリコーダーが苦手なんじゃなくて、音を探すのが苦手だったんだね。」
と伝えると、周りの子も「すごい!」「よかったね!」と拍手。
ああ、人ってすごい。
そして、人を現象面で評価することの怖さを感じます。